コラムCOLUMN

憂うつな職場のコミュニケーションを考える

 

会社員のコミュニケーションは憂うつ

 

 JTBコミュニケーションデザインが発表した調査結果により、会社員はコミュニケーションに関し、全体的に憂うつに感じていることが明らかになりました。

まず、2017年のコミュニケーションを振り返って、「全体的に楽しくコミュニケーションが取れた」と回答したのは、会社員では45%でした。これは、大学生の66%、主婦の56%、リタイア層の51%と比べて低い数値です。さらに、コミュニケーションを取っていて「憂うつな相手」について尋ねた質問では、「特にいない」という回答は、会社員で最も少なく、24%でした。 

つまり、憂うつな相手が誰かしらいる人は76%で、4人に3人の割合ということになります。大学生、主婦、リタイア層と比べると、会社員のコミュニケーションは、憂うつな色彩を帯びているようです。 

 また、会社員がコミュニケーションを取っていて憂うつな相手のトップは、「上司」がとびぬけて多く、47%、次いで「お客様・取引先」が23%でした。ちなみに、大学生では「教授」、主婦では「義父母」、リタイア層では「ご近所」が憂うつな相手のトップです。それぞれ、特色が出ていますね。 みなさんは、いかがでしょう。ふだん、楽しくコミュニケーションが取れていますか。コミュニケーションが憂うつな相手はいるでしょうか。

 
菊入 みゆき (きくいり みゆき)
菊入 みゆき
ワーク・モチベーション研究所 所長

モチベーションコンサルタント

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2017年に全体的に、楽しくコミュニケーションをとれたかどうか

コラム表①

 

コミュニケーションが憂うつな相手
コラム表②

 

憂うつがもたらすデメリット

 憂うつな気分は、本人にとって辛いのはもちろんのこと、その他にも様々なデメリットをもたらします。幸福感が高い人は、高い成果を出す傾向があるという研究結果がありますが、憂うつな気分は幸福感を低下させ、結果的に成果に悪影響を与えます。

 さらに、特定の相手とのコミュニケーションが憂うつ、ということになると、その相手を避けるようになり、コミュニケーションの頻度が減ります。職場においては、このコミュニケーション頻度減少が最大のデメリットと言えます。報告、連絡、相談の回数が減少し、必要な情報が共有されない、早めの対処ができずに好機を逃す、小さなトラブルが大きな事故に発展するという問題につながります 。

 会社員の「憂うつなコミュニケーション」、特に、「上司との憂うつなコミュニケーション」は、会社員本人の問題に帰結させるのではなく、組織として対処すべき問題と言えます。  

 

 

なぜ上司とのコミュニケーションは憂うつなのか

 

 憂うつな理由を尋ねると、「気を使うから」「本音を言えないから」「相手を尊敬できないから」がトップ3に上がりました。自由記述欄を見ると、「社員旅行で観光している時に、気を使って楽しくなかった」(男性、43、大阪府)、「職場でたわいの無い話でも、すぐに機嫌が悪くなるから」(女性、41、群馬県)、「本音を言えず、話を聞きながら相手と意見が違うと感じたから」(女性、53、東京都)などの、気を使い、本音を言えない様子がうかがわれます。

 「相手を尊敬できないから」という理由に関しては、いくつかのパターンに分かれるようです。「飲み屋での会話で、他人の悪口ばかりで、気分が悪かった」(男性、48、神奈川県)、「自分の昔話を業務中に延々と聞かされ業務に支障が出たから」(女性、26、兵庫県)などの、上司としての自覚がなさすぎるパターンや、「仕事の話をしている時、高圧的な態度をとられる」(男性、36、青森県)、「いつも自分勝手に進めて はい しか言わせないから」(男性、37、千葉県)などの傲慢パターン、「仕事の相談をしたい時に、自分の仕事が忙しいらしく、後回しにされた」(女性、43、東京都)、「報告の際、返事がおざなり」(女性、43、愛知県)などの部下を軽く見過ぎるパターンなどがあります。「仕事中、自慢話を聞かされて」(男性、47、三重県)、「出張で夕食の際、自慢話を聞かされた」(男性、48、神奈川県)などの自慢話系の記述は相当数見られました。上司の自慢話は、多くの部下にとって憂うつなコミュニケーションパターンの1つであるようです。

 

 

コラム表③

※上司とのコミュニケーションが憂うつと答えた人ベース

 

 

自分のコミュニケーションを振り返る

 

 こうしたケースの多くは、上司の意識やスキルを向上させることで、改善されることが多いはずです。第一に、このような調査結果を理解し、「部下を憂うつにさせることが、自分の部門の業績を低下させているかもしれない」と認識するだけでも、その後の意識は変わるでしょう。 

 管理職1人1人が、自分のコミュニケーションを振り返り、部下を憂うつにさせていないかを考えてみることは、改善の第一歩です。上記の自由記述コメントが、参考になるはずです。部下との関係性についても振り返ることが必要でしょう。上司と部下の相互理解が足りないために、単純な誤解が発生している可能性もあります。上司が非常事態に直面し、全く余裕のない状況にあるのに、部下が「上司は、私の報告をおざなりに聞いている」と思っているのかもしれません。ふだんからの情報共有が不足し、信頼関係が築かれていないために、お互いの事情を思いやることができない、というケースもありうるでしょう。

 管理職を対象に、部下とのコミュニケーションをじっくり考える場を設けることは、有効な対策となります。コミュニケーションスキルやマネジメントスキルを向上させる研修の開催も、事態の改善を促す有効な方法です。もちろん、上司だけが問題ではありません。上司が部下とコミュニケーションを取りにくい職場環境や風土、業務フローを見直す必要もあります。

 社員のコミュニケーションの憂うつ度を改善し、職場の活性化と業績の改善を実現しましょう。

 

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コミュニケーション総合調査の詳細は、以下のページよりご確認ください。

 

◆コミュニケーション総合調査<第1報> 「2017年の満足度と2018年への期待」
 https://www.jtbcom.co.jp/article/hr/217.html
◆コミュニケーション総合調査<第2報> 「憂うつなコミュニケーション、楽しいコミュニケーション」
 https://www.jtbcom.co.jp/article/hr/222.html

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