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「問題」か、「問題に向き合う自分」の問題か

 

 

 

 

 職場では、毎日様々な問題が起こります。売上の伸び悩みや顧客からのクレームといった会社の命運を左右する対外的な問題、部門のモチベーションダウン、上司との軋轢やチームワークの乱れといった組織内の問題、あるいは個人的な疾病、怪我、家庭内の諸問題など、その範囲は多岐にわたります。

 こうした問題への対処は、一歩間違えば、組織や個人の信用を失墜させ、経済的および精神的な不利益をもたらします。しかし、適切に対処することで、逆に顧客とのきずなが深まったり、社内の結束が強まったりもします。

 本コラムでは、問題への対処について、職場のダイナミズムの観点から考えます。

 

 
菊入 みゆき (きくいり みゆき)
菊入 みゆき
ワーク・モチベーション研究所 所長

モチベーションコンサルタント

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問題に振り回される、問題から目を背ける

 ある販売会社で大規模店舗のサブ店長を務めるYさんの話です。Yさんは、上司である店長が、店の売上成績によって気分のアップダウンが激しいことを懸念しています。本部が指示した予算に届かず、達成率が90%を下回りそうな月は、朝から機嫌が悪く、店舗全体に暗い雰囲気が漂います。Yさんは、このことが売上ダウンに拍車をかけていると考えています。週一で店舗に立ち寄るスーパーバイザーに相談するのですが、「がんばってください」等のコメントをするのみで、そそくさと立ち去ってしまいます。「まったくどうすればいいのか」とYさんは、憂うつな表情です。 

 このケースでは、「売上ダウン」という問題に対し、店長は振り回されていますし、スーパーバイザーは目を背けています。どちらも適切な対処とは言えません。読者の皆さんの中にも、Yさんの境遇が身につまされる、というかたもいるかもしれません。

 

 

 

 

「問題に向き合う自分」の問題

 Yさんを中心に考えてみましょう。Yさんにとっての問題は、「機嫌の悪さで売上ダウンに拍車をかける店長と、指導をしないスーパーバイザー」です。Yさんはこの問題に対して、どう対処しているでしょうか。Yさんのコメントは、 「店長は人の上に立つ人ですし、店のトップなのですから、もう少し自覚を持ってほしいんですよね。スーパーバイザーは、効果的な指導をするのが仕事のはず。こんなに頼りにならないのでは、いる意味がない」というものです。店長とスーパーバイザーの現状やすべきことについては、きっちり分析し明確に把握しています。つまり、「問題」の内容についてはよくわかっています。しかし、自身では具体的な行動を起こしていません。

 店長やスーパーバイザーの、「売上ダウン」という問題への向き合い方を非難していますが、実は、自身の問題の向き合い方にも、また改善すべき点があるようです。

 

 

 

 

 

遠くから石を投げていてもダメ

 Yさんに、「問題」の分析と、「問題に向き合う自分」の分析をしてもらいました。後者に関しては、最初は「忙しい。時間がない(から対処できない)」というコメントもありました。しかし、途中から、「遠くから石を投げていてもダメですね」と話すようになりました。今の「問題に向き合う自分」の姿は、遠くから石を投げているようなものだと気づいたのです。そこで、どのように問題に向き合うべきかを考えてもらいました。 

 「店長と時間を取って話をしようと思います。相手のプライドを尊重して、『店長のスタッフに対する影響は絶大ですよ』というように言い方を工夫します。スーパーバイザーには、こちらのプランと、スーパーバイザーにやってほしいことを書面にして訪問日の前に送り、本気度を見せて相談しようと思います」

 

 

 

 

問題への向き合い方は伝染する

 上に立つ人が問題に適切に向き合う姿は、配下のスタッフにも影響を与え、伝染していきます。Yさんがサブ店長として行動を起こすことは、スタッフにも伝染し、彼らの適切な対処を促進するでしょう。また、Yさんの今回の行動は、上司である店長の、不適切な対処の伝染を断ち切るという側面もありました。

 問題に直面した時、「問題」に向き合うだけでなく、「問題に向き合う自分」にも向き合いましょう。振り回されていないか、遠くから届かぬ石を投げるだけになっていないかを考えてみてください。新しい一歩が踏み出せるはずです。それは、周りにも影響を与え、組織全体を変える一歩にもなるはずです。

 

 

 

 

 

 

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