お知らせ

組織風土はどのように作られるのか
-“伝染”から考える組織ー

 

「当社は、和気あいあいとした風土なんです」

「うちは昔から、個人主義的な組織風土がありまして」

仕事の場面で、このような言葉を聞くことがあります。

組織風土は、従業員にとっても会社にとっても、重要なテーマです。従業員にとって仕事がしやすい風土であれば、離職率は低く保たれますし、皆が売上目標に向かって邁進するような風土は、組織の業績に好影響を与えます。

組織風土を、筆者の専門である「モチベーションの伝染」の観点から考えてみます。

 

■目標が伝染する

モチベーションの伝染については、前回のコラムに書きましたが、実は、目標も伝染しています。

前回のコラム

様々な実験で、目標の伝染が実証されています。主人公が人助けをする動画を見た人は、その後、ボランティア活動に応募する率が高まります。金儲けを意図して行動している人を見た後、ゲームをすると、金儲けに走る確率が高くなります。「人助け」「金儲け」という目標が伝染するのです。

人は、まわりにいる人が、一体何を目的として行動しているのかを、想像以上に敏感に察知しているのです。そして、その目標を、自分の目標として取り入れます。この「目標伝播」は、本人が意識しなくても起こります。

 

■上司は、何を意図して動いているのか

目標の伝染を、職場に当てはめて考えてみましょう。

例えば、上司が、いつもお客様を第一に考えて行動しているのを見ていると、「お客様に満足してもらいたい」という目標が伝染し、部下も同じ目標を持つようになります。逆に、上司が、「とにかく、自分の売上を上げることが一番大事だ」と、まわりと助け合うことをせず、個人の売上獲得だけに時間と労力を費やしているのを見ると、自然と、同じように「自分の売上だけを上げよう」という目標を持って行動するようになります。

伝染以外に、「これはいいことだ」と理論的に判断して、積極的に真似をするという場合も、もちろんあります。しかし、本人の意識の範囲外で、目標が伝染していることも多いのです。

組織風土が作られる要素として、こうした伝染の存在は大きいと考えられます。組織内で影響力の大きい人が持っている目標が、自然に全体に広がっているのです。

 

■目標の伝染を活用する

目標の伝染を活用して、新たな組織風土を作ることもできるはずです。

組織のトップやマネジメント層、あるいは職場のリーダー的な存在の人が、新しい目標を持ち、それを体現する行動を取ることです。言葉で表現するだけでなく、行動に移すことが、目標の伝染という観点からは大切です。従って、言動一致が重要なポイントとなります。

ある管理職研修の場で、次のようなコメントを聞きました。グループで、「理想の上司」と「最悪の上司」の特徴をリストアップしていた時のことです。

「私の以前の上司は、毎朝の朝礼で、お客様満足が一番大事だ、と訓戒を垂れていました。でも、大きなクレームが持ち上がった時に、その上司は逃げたんですよね。その姿を見て、課の全員のやる気が萎えましたよ」

ということでした。これでは、「大変な部分はまわりに押し付けて逃げよう」という目標が伝染してしまいます。

 

■社内の情報共有の重要性

もう一つ、組織が掲げる目標に沿った行動の事例を、明確に職場内に提示することです。社内イントラや社内報、あるいは会議等の場で、「顧客第一という当社の理念に則り、○○部の◇◇さんがお客様のためにこのような素晴らしい行動をとりました」等、具体的に示すのです。写真や動画などがあれば、なお効果的です。こうした社内の情報共有は、目標を伝染させ、理想的な組織風土を作るためにも、非常に重要です。

 

目標は伝染します。よい目標を効果的に伝染させ、よい組織風土を作っていきましょう。

 

 

 

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菊入 みゆき (きくいり みゆき)
菊入 みゆき
ワーク・モチベーション研究所 所長

モチベーションコンサルタント

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